KENPO羅針盤 2022年危機が1年早く到来

新型コロナの影響により保険料収入が減少
健康保険組合の主な収入である保険料は、みなさんの給与等に一定の保険料率をかけて算出されています。健康保険組合連合会が発表した2021年度予算早期集計によると、多くの業界でコロナ禍による給与や賞与の減少が予測されており、保険料収入は健康保険組合全体で前年度比2,167億円もの減少が見込まれています。
一方で高齢者医療のための拠出金は増加し続け、健康保険組合全体では1,289億円増の3兆6,627億円の支出となっています。新型コロナによる受診控えや治療待ちなどの影響により保険給付費はやや減少する見込みですが、経常赤字は5,098億円と大幅に拡大し、全健保組合の約8割が赤字予算となりました。
■2021年度予算 経常収支の状況
(2020年度予算集計結果との比較)

- 新型コロナの影響により賃金水準が低下し、保険料収入は前年度比約2,200億円減少。とくに賞与額は7.2%減。115組合が保険料率を引き上げたが、それでも全体の赤字幅は拡大。
- 高齢者医療への拠出金は前年度比1,289億円増加。そのうち前期高齢者納付金は1,007億円(6.5%)増。
コロナ禍による2022年危機への影響
もともと健保財政は高齢者医療への拠出金の負担が重く、とくに団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)入りする2022年以降は、さらなる拠出金負担の急増が見込まれていました。それがコロナ禍により財政悪化が加速し、1年前倒しで危機に直面した状況となっています。
現役世代の負担軽減のため、2022年10月から後期高齢者の2割自己負担が導入※1されます。経過措置※2により軽減効果は十分ではありませんが、確実な実施が望まれます。
※1 対象となるのは課税所得28万円以上、年収200万円以上(複数世帯320万円以上) 。現役並み所得者はすでに3割負担。
※2 施行後3年間は外来自己負担の増加額を1ヶ月最大3,000円に抑える措置。
2022年1月から制度が変更になります
傷病手当金の支給期間の通算化
傷病手当金は病気やケガで仕事を休んだとき、1年6ヶ月まで手当金が受けられる制度です。治療と就労の両立という観点から、以下の改正が予定されています。
傷病手当金を受けていた人が、一時的に就労可能になって支給を受けない期間があったとき…
【現行】
傷病手当金が支給されない期間も1年6ヶ月の支給期間に含む
【改正後】
傷病手当金が支給されない期間は支給期間に含めず、実際に支給した期間を通算して1年6ヶ月まで支給する
任意継続被保険者制度の見直し
任意継続被保険者制度は退職後、希望すれば当健康保険組合に引き続き加入できる制度です。
- 保険料計算の基礎は①従前の標準報酬月額または②当該健康保険組合の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い方とされていますが、健保組合の規約により、従前の標準報酬月額とすることも可能になります。
- 加入期間は2年間*ですが、本人の申請により、自己都合で脱退が認められるようになります。
* 他の健康保険等に加入した、保険料を期限までに納付しなかった、死亡した場合は資格を喪失します。
